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汗は体温調節に必要ですから、多汗症の方も汗を憎まないで、知ってあげましょう。
私たち人間が体温を調節する仕組みは、大きく分類して三種類あります。まず、体温より外の空気の温度が低い場合には自然と熱が体外に出ていきますね。これを放射といいます。
ですので、冬の外にいて身体が冷えてくるのは、身体が熱を放射してしまうことによるものです。
次が伝導対流という現象からです。身体から周囲の接している空気に体温が伝播していくものです。例えば冷たいプールで泳いでいると体が冷えてくるのは、この原理ですね。
そして三番目が蒸散という現象です。汗をかいて、それが蒸発するときに皮膚から気化熱を奪ってくれ、それで冷える現象です。例えば、暑い夏に打ち水をして涼をとるのと同じ原理です。
また、皮膚からの蒸散だけでなく、息を吐いたときの水蒸気でも同じ作用が起こります。例えば犬は暑いときに舌をだしてハアハアしていますね。あれも基本的には同じことです。
そして、この三種類のなかで、もっとも冷却効果が高いのはどれでしょうか・・三番目の汗による蒸散効果なんです。
体にとって体温調節がいちばん必要なのは、体温の変化が激しい状況の時です。例えば熱いものを食べたり、激しい運動をしたときに、いちばん体温調節が必要になります。
それができないと熱中症などで死んでしまいます。急場をしのいでくれるのは汗の蒸発しかないのです。周囲の温度が高くなれば、皮膚の血管が膨らんでもっと大量の汗を出し、蒸散させて皮膚の温度を下げてくれます。
汗は私達人間の命を守るための大切な機能なのです。多汗症の方も、ぜひそれは知っておいてください。
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私達人間の祖先は、手のひらや足の裏の汗にしても、もともと必要な滑り止めでした。
今でもアフリカの原住民で想像できますが、槍や棒を持つ際にも、裸足で素早く滑らずに走るためにも、乾いた皮膚では上手くできないものです。
汗による湿り気があるからこそ滑り止めの効果になったのです。
例えば、現代人でも年配の人になると、お札の枚数を数えたり本のページをめくったりするときに指にツバをつけます。
他には、バッターボックスに向かう野球の選手が手にツバをつけてバットを振ることもありますし、職人さんが道具を持つ時にツバを手に付けて持つ場合もあります。
これらの場合のツバは、汗のかわりに滑り止めの役目をしているわけです。しかし今日では、なにかにツバをつけること自体が「汚い」と思われてしまう時代になっているようですね。
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汗をかくという現象は、人間にとってものすごく重要だということです。長い人間の歴史のなかで、この時代ほど汗をかくことが敬遠されている時代はないからです。
いつも何げなくかいている汗が、じつはどれほど大事なものなのでしょうか。多汗症で悩む人にとっても同じことです。ほんのひと昔まえまでは、額に汗して働くことは美徳であり、スポーツで汗を流すことは健康の象徴でした。
でも時代は変わりましたね。今では行きすぎとも思える無臭志向、清潔志向のはてに、汗までも邪魔者だといわんばかりの「無汗志向」へ時代は流れています。
それでも人間には汗が必要なのです。恒温動物である人間が常に活動的であるためには、ほんとうに、文字どおり汗を一滴もかかない「無汗」状態になったら、私たちはほんとうに大変なことになってしまうのです。
もし私たちが汗をかかなくなったらどうなるのか? 生命が保てない・・つまり死が待っているのです。
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